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*旅立ち・4*
日の出と共に、フィルティアは馬を連れて大聖堂の門を潜った。
そうして、振り返って大聖堂を見上げる。
大聖堂と呼ぶには、あまりにも巨大で都市のようなそれは、朝日を受けて神々しく輝いている。
この門を潜ったのは、五歳でクレイモンド大司教に引き取られて以来のフィルティアは、緊張した面持ちで大聖堂を見つめた。
「行ってきます」
そう呟いたのは、神への言葉か。
それとも、大聖堂そのものへなのか。
心の中で覚悟を決めたフィルティアは、小さく微笑むと、連れていた馬に乗り、大聖堂アイルシェードを旅立った。
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