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踵を返して、その場を立ち去ろうとするレン
「こんなか弱い女の子拾ってきておいて、自分は関係ないなんてひどすぎやしない?」
「……………」
ピタッとレンの動きが止まる
「拾ってきたのはレンなわけだし?ちゃんと面倒見るべきじゃないの?行く宛も無いのに見捨てちゃうの?」
……拾ってきたって…人を子犬みたいに言うな
俺は、苦笑いを顔に貼り付けながらそう思う
「……………名前は?」
「ふえ?」
一瞬、何を聞かれたのかわからず、変な声がでる
「名前は?」
「お……私ですか?」
自分の事を指差しながらレンさんに聞き返す
「そうだ」
「秋峰 式です」
「○○区○○丁目△△ー△△△……動けるようになったらここに来い」
レンさんから、先程レンさんが言った住所が書かれた紙を渡される
「あ、はい……あ、助けてもらったみたいで、ありがとうございます」
「別に、助けたのは俺の意識だ……礼を言う必要はない」
そう言い残して、レンさんは踵を返し今度こそ部屋を出て行く
「………相変わらず、素直じゃ無いね」
「はあ……それより、私はいつ自由になれるんです?」
ずっとベッドの上ってのも退屈でつまらないし、体を動かさないと剣の腕も鈍るからなぁ
それに、この体でどこまで動けるのかも知っておかなければならないだろうし
「そうね、怪我はもう完治してるから……もう2、3日で退院ね」
2、3日か……それまでずっとこのままってのは面白くないなー
「2、3日かぁ~」
「大丈夫、式は記憶喪失みたいだから、世の中の常識とか覚えてもらうから」
記憶喪失って……別に記憶はあるんだけど
いかんせん俺がいた世界とは違う世界みたいだからな、まあ、この世界がどんなとこなのか知るには丁度良いかもしれない
「式?どうかした?そんな考え込んじゃって」
「うわっ!……い、いえ、別にどうもしてないですよ」
いつの間にか少し考える方に意識を置いていたためか、目の前にミサキさんの顔があり驚く
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