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「俺の勝ち、でいいですよね?」
そんなボロボロなのに!? というツッコミが聞こえた気がしたけど無視で。
俺の拳と敗北を味わった鈴先輩の顔は苦痛に歪むのと悔しさで泣きそうなのが入り交じって、なんというか……。
(すげぇイジメてぇぇぇ!!)
いや俺に人を痛めつけて悦ぶような性癖はないんだけども! でも年上の余裕に溢れるお姉さんキャラの人がちょっと涙目とかたまらないです。
何も言わないからツンツンくらいしちゃおうかと思い始めた時、鈴先輩は接着剤でくっついてたんじゃないかというくらいゆっくりと口を開けた。
「…………負けてないもん」
「……え?」
「負けてないもん!」
ここでまさかの幼児退行。
女の子座りで頬を膨らませながら上目遣いで睨んでくる美少女が俺の足元にいるというこの状況。……どうすればいいんだ。
「いや先輩の負けですよ? ついさっき俺が先輩の王様とお馬さんぶっ壊したじゃないですか」
「キングとうーちゃんは本気じゃなかったもん!」
「うーちゃん!?」
「キングもうーちゃんもミンクもライちゃんもシルキーもラザニアも皆もっと強いもん!」
うーちゃんに始まりおそらくあの氷の騎士たちの名前を列挙していく鈴先輩。最後一個美味しそうなの混ざってたけど。主にイタリアンな。
というか高二にもなって「もん」付けで話すとか何この可愛い生物。ギャップが激しすぎんだけど。
お姉さんキャラ→崩壊→幼児退行。
……面白すぎんだろ、コレ。
吹き出しそうになったところで、保護者がやって来た。
「もー、リンちゃん往生際悪いよー。新入生相手に恥ずかしくないの?」
来ました平均以上(さっき抱きつかれて判明した)の乳ならぬ包容力を持つ御方、その名を蘭先輩。
鈴先輩(幼女)を後ろから抱きしめ、耳元に口を近づけているが……。
(この光景は……マズイ)
後ろに百合の花が見える……ッ!
二人とも戦闘直後で良い感じにはだけてるからなおさら絡み方がエロく見えてしまう!
「りんじゃないもん! すずだっていってるでしょ!」
「はいはいそうだねー。てかスズちゃん早く戻ってよぉー」
幼児退行がさらに進み、若干面倒くささが窺える。気持ちはわかるけども、今は幼女(17歳)なんだから! 今は!
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