甘……くはなかった邂逅

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* * *  全力疾走すること約10分。汗ダラダラだし、脚パンパンだしマジで疲れた。それにしても── 「何で銃持ってるの!?」  ギロッ。  つい叫んでしまった俺の方を黒スーツにサングラスといういかにも怪しい男が睨む。  一瞬の差で男より速く頭を引っ込めた。 「何かいたのか?」「いや何でもない」  幸いにも、仲間と共に行動しているソイツは少し視線を残しながらも去っていった。  ここで一息。ビルの壁にへばりついて何とかやり過ごせたけど……。 (ったく、なんつーとこ来ちゃったんだよ、俺)  ──今俺がいるのはまたもや廃ビル。廃ビルに縁でもあんのかな、俺。  この廃ビルに着いてまずあの黒い車を確認。止まっていたのはあの黒い三連車だけでリムジンはなかった。  だが廃ビルの周りをぐるっと一周してみるとビルの裏側にはあのリムジンが。表の三台を振り切ったのに裏をかかれたらしい。  そして隣の家屋とビルの間を見ると覗きにおあつらえ向きのスペースを発見。そこに入って割れた窓から中を覗いてみるとまさかの銃を持った怖いお兄さん達がいた、というわけだ。 「おいおいおい。何でこんなにデンジャラスな展開になってんだ?」  好奇心は猫をも殺す。そのことわざに反して、俺のが早く死にそうだ。  アイツらもどうせ魔法使い-ウィザード-だろうし、魔力感知は出来ておかしくない。 「あー、よかった」  ──全力疾走でちょうど“切らしてたしな"。  けど……。 「どうしよっかな……」  中には銃を持った怖いお兄さん達がウジャウジャいるに違いない。“今の俺”が中入ったら確実に死ぬ。それはもう簡単に。風穴だらけだろうよ。  だがスマホも繋がらないし公衆電話も見た当たらない以上、この場でこの厄介事を解決出来るのは俺だけだ。  俺は悩みに悩む。正直さっきの男達は纏っている雰囲気からして殺し屋とかそういう専門家ではない。問題は銃だけ。  少し考え込んでいると。  ──パァンパァン!  突如聴こえてきた発砲音にビクッ、と思わず飛び上がる。  音が聴こえてきたのは上の方。見上げても何もないとわかっていても見てしまう。
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