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「ちょっとお姉さん!」
僕はそこのお姉さんに声をかける。
「はい、なんですか?」
こんな僕の為に、人のいい笑顔を向けてくれるとは、なんていい人なんだ。この人絶対いい人だ。この人なら、僕のお願いを絶対聞いてくれるぞ!
「僕を殴り殺してくれませんか?」
「え、嫌です!」
「そこをなんとか。ほら、お金をあげますから。何万包みますか? 何万包んだら殴り殺してくれますか?」
「え……えっと、十万?」
「十万! 分かりました。ちょうど十万円あります。ほら、持って行ってください!」
そう言って、僕はお姉さんに十万を渡す。なんていい人なんだこの人は。この人なら、きっと僕の事を殴り殺してくれるぞ!
「えっと、じゃあ、殴ります」
「よし来い」
バチン、良い音がした。だが、これはビンタだ。グーじゃない。これじゃあ、僕を殴り殺せない。
「待ってくださいお姉さん。僕は殴り殺してと言ったんです。ビンタじゃないですかコレ。 コレじゃあ死ねないじゃないですかコレ。ふざけてるんですか。僕は真剣なんですよ。真剣に僕の事を殴ってくださいよホラ」
「す、すいません」
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