472人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
ここ数日間
ずっと溜め込んでいた黒い膿が、身体の中でうごめいて
時折甲斐の顔が浮かんでは、嫉妬と怒りでおかしくなりそうで。
こうなったのは、自分の不甲斐なさだ、ってわかっていても
もう止められない
重なりあった唇を強く擦り合わせても、憂の唇はかたくなに俺を拒んでいて
俺の中で、全てが弾けとぶ
「……んっ……ヤッめ」
両手で俺の身体を必死で押し返す手を、
瞬時につかまえると、俺は緩んでいたネクタイをスッと首から抜き取ると、憂の身体を押さえ込んだ
「いゃあっ!!」
嫌がる背中に両手首を重ねると、手にしていたネクタイでそれを閉じ込めた
「……亮っ!!……亮っ!!」
いつの間にか涙をこぼしながら俺を見る憂が、艶やかで厭らしくしか見えなくて
それがいいかわるいかの判別を
つける気なんてさらさらない自分に
笑みがこぼれる
最初のコメントを投稿しよう!