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「あたたたた…」
地面を激しく転がったものの俺はかすり傷程度ですんだ…しかし、彼女の方は…
「す、すみません!…って、あれ?」
俺の周りには誰もいなかった。通行人は元からいなかったのだが、ぶつかったはずの彼女がいなかった。
…とりあえず、いつまでも鳴っている根性のある電話に出てやろう。
「もしもし?」
「おぉ! 隆起! やっと出たか。お前出るの遅いんだよ!」
電話の相手は長山弘(ナガヤマ ヒロシ)だった。俺の男友達である。
まったく、こっちの身も知らずに…まぁ、知らなくて当然なのだが。
「待ち合わせ時間過ぎてるんだけど、何やってんだ?」
「悪ぃ悪ぃ。もうすぐ行くから待っててくれや」
「まったく……分かった。先にゲームショップ行ってるからな!」
それ…分かってねぇじゃん…
しかも、一方的に切りやがった…
「でも…俺はいったい何とぶつかったんだ…って、あれ? 携帯の待ち受けが変わってる…しかも、何で同じクラスの中村瑠璃(ナカムラ ルリ)が俺の携帯の待ち受けになってんだ?」
あえて全部声に出してみる
「それを聞きたいのはアタシなんだけど…」
「へ?」
待ち受けがしゃべった?
んなバカな!?
それは夢でも何でもなかった。
俺とぶつかった中村瑠璃は信じられないことに俺の携帯の中にいた。
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