プロローグ

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それは楽しい夢だった。 俺は自転車で同じクラスの中村さんに激突。 その衝撃で中村さんが俺の携帯の中に入ってしまった。 「うん。それは実に面白い初夢だな」 「だろ? 我ながら凄い初夢を見たもんだぜ!」 「でも何で中村なんだ? まさかお前、中村のことが…」 「バッ!? んなわけねーだろ!」 ゲームを買い、どこにでもいる高校生の会話をしながら俺と長山は帰っていた。あまりに大きな声で話しているが、どうせ周りにはそんなに人がいるわけでもないので気にしなかった。 「じゃーな。中村と幸せにな!」 「だから、違うって言ってるだろ!」 別れ道で長山と別れた。一度言いだすと完全に押し切ってしまうのが長山の悪い所である。だがそれが良い時もある。小三の時に隆起が給食当番としてスープをついでいたら、手が滑ってスープを引っ繰り返してクラスの女子の服を汚してしまった事があった。もちろん、その女子はカンカンに怒ったが、隆起は悪くないと言ってやまなかったのが長山弘であった。だが結局、その女子には土下座までして謝った。が、それをきっかけに隆起と長山は仲良くなったというわけである。ちなみに、隆起が土下座までして謝ったという相手は… 「コラーッ! いい加減ここから出しなさいよっ!」 …中村瑠璃である。
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