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 どれほどの年月が経っただろうか。百年と数十年が経った頃、この星の最後のオアシスとなった場所に一台のロケットが着陸した。ロケットのハッチが開き、そこから、宇宙服を着た人間達が降りてきた。  彼らは無線機を使い故郷の星と連絡を取り合っていた。 「こちら、プセレイス号。ただいま、目標の惑星へと到着しました。これより、調査を開始します」  彼らは地球という星の宇宙センターから派遣された人間であった。この星に訪れた目的は、生物がいた痕跡を探す為であった。ここに着陸したのも、星を周回していたら人工物らしきモノを発見したから。太陽光を利用した特別な銃器を構えながら周囲を捜索した。とはいえ、百数十年も砂漠の中に放置されたオアシスだ。痕跡など残っているはずもなく、民家らしき建物も墓石に使われ原形を保っていなかった。一応、写真に収めてみたものの、この写真を学会で発表したところで、宇宙人説を否定する学者を納得させる要素には欠けていた。見せたところで、偶然の産物だと笑われるのがオチだ。  そんな中、ロケットに残り、今後の調査を計画していた隊長に連絡が入った。 「どうした?」 「こちら、ジェンです。ただいま、町らしき残骸の中心部に来たのですが、妙なモノを発見したのです」 「妙なモノ?生物の骨か?」 「いえ。でも、生命がいたという痕跡にはなるかもしれません。何故か、町の残骸の中心にストーンサークルのようなモノがありまして・・・」  ジェンと名乗った隊員は無線機で隊長と連絡を取り合いながら、かつて池があった場所に、幾重にも円を描くようにして立ち並んでいる奇妙な石達に手を触れていた。
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