【旋 律】前編 第二章

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. ――――… 亜美を寝かし付けた後、円香はソファーに座り読み掛けの本に目を通した。 和馬に『本くらい読め』と言われたことを気にした為だった。 しばらく本に目を通し、息をつき、時計を見た。 もうすぐ11時になる……そろそろかな? そう思った瞬間、円香の携帯電話がメールを受信した。 『駅に着いた』 その簡単なメールを確認すると、円香はキッチンに向かった。 いつものように食事の用意ができる頃、和馬が帰宅した。 「お帰りなさい」 和馬は「ああ」と呟き、冷蔵庫を開け、顔をしかめた。 「おい、ビールは?」 「あっ、ごめんなさい、もうなかった?」 円香が慌てると、 「なんだよ、仕事で疲れて帰って来てからの楽しみなんだから、忘れるなよ」 とブツブツ言い、イライラした様子で棚からウィスキーを出した。  
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