【旋 律】前編 第二章

15/28
前へ
/28ページ
次へ
  「ごめんなさい」 円香はシュンとしながらウィスキー用のグラスと氷を用意した。 和馬はブスッとした様子で、テレビを見ていた。 そして和馬は食事を終えたあと、円香が食器を洗っている間、無言のまま浴室に入って行った。 円香は棘のある彼の雰囲気に居たたまれない気持ちの中、食器を洗い終え、息をついた。 いつからだろう……こんな毎日。 会話らしい会話もなく、ただ、枯れたような毎日。 ずっと、こんな毎日なのかな? 円香は重い気持ちのままソファーに座っていると、和馬は入浴後リヒングを素通りし、何も言わずに寝室へ向かった。 えっ? もう寝ちゃうの? 円香が慌ててリビングの電気を消し、寝室に向かうと、和馬は既にベッドに横たわり、いびきをかいていた。  
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1039人が本棚に入れています
本棚に追加