【旋 律】前編 第二章

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  円香は小さく息をつき、ベッドに腰をかけた。 ……今日、会話はどのくらいできたかな? 朝もろくに話していない。 ビールがないと、怒られただけだったような気がする。 円香は天井を見上げ、また溜息をついた。 一流企業に勤める主人に、夢の一戸建て、可愛い娘。 私はなんて幸せなんだろう、なんて恵まれてるんだろう。 そう……いつも言い聞かせていた。 目に涙が浮かぶ。 結婚って、こんなものなの? 私が望んでいた幸せは、こんなものなの? 円香はグッと俯き、額を抑えた。
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