【旋 律】前編 第二章

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  「広瀬、懐かれたなぁ、楓ちゃんだってよ」 「きっと、俺の優しさが滲み出てるんだよ」 「よく言うよ、でも、あの子かわいいよな」 すれ違った後、そんな会話が耳に届き、円香は照れ臭いような気持ちの中、笑みを浮かべた。 少し恥ずかしいけど、これから朝の楽しみがパワーアップしたかも。 ……それにしても、楓君って優しい子なんだなぁ。 昨日も亜美と話す時、ちゃんとしゃがんで目を見て話してくれていたし……。 綺麗な目をした、聡明そうな男の子。 挨拶を交わせるようになったなんて信じられない。 円香は今朝の重苦しさを忘れ、晴れやかに歩き出した。
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