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――――…
円香は幼稚園から帰った亜美を連れて、近所の公園に遊びに連れて来ていた。
体力のある亜美は公園に足を踏み入れるなり、駆け足でブランコに向かい楽しそうに遊んでいた。
亜美はいつも一人で力一杯楽しそうに遊ぶ子供だった。
親を巻き込み親と共に遊びたがる子供が多い中、ただひたすら一人でとことん遊ぶ亜美を見て、他の母親に、
「亜美ちゃんの遊んでる姿って、鍛えてるみたいね」
そう冗談めかしく言われる程、いつもハードに遊びまわる。
円香はそんな亜美の近くで見守るように、ただボーッと佇むことが多かった。
ブランコに飽きた亜美が、鉄棒の近くまで駆け寄るなり急にしゃがみこんで、「マーマー」と手をあげた。
円香はゆっくり体を起こし、亜美の元に歩み寄った。
「どうしたの?」
亜美は何かを拾い、円香に見せた。
「鍵、落ちてた」
亜美はシンプルなキーホルダーがついた鍵を差し出した。
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