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円香はキュッと拳を握り締め、高鳴る心臓を抑えながら、彼の元に歩み寄った。
「あ、あの……」
円香が声をかけると、彼はキョトンとして顔を上げた。
きめ細かく絹のような若々しい肌に、驚くほど綺麗な目をしていた。
近距離で彼の端正な顔立ちを目の当たりにし、自分の頬が紅潮してくることを感じた。
「鍵、拾ったんだけど……もしかして、これを探してる?」
鍵を彼に見せると、彼は、わぁ、と笑みを浮かべた。
「良かったぁ、そうですこれを探してたんです」
彼の言葉に「なんだよ、見付かったのか?」と友達が集まってきた。
「この方が拾ってくれて」
彼は友達に笑顔でそう告げて、円香を見た。
「ありがとうございます、あの、どこに落ちてたんですか?」
「あ…、て、鉄棒の所で」
彼の満面の笑みに、円香はまた頬が紅潮してくるのが分かった。
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