【旋 律】前編 第二章

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  その言葉を聞いた友達は吹き出すように笑った。 「やっぱな、今朝、広瀬が逆上がりしたときに落ちたんだろ、いい歳して逆上がりなんてするから落とすんだよ」 「お前がまだできるなら、やって見せろってけしかけたんだろ」 すると亜美が強い口調で、 「あのね、その鍵ね、亜美が拾ったんだよ」 と彼に向かい得意げに言った。 得意気な亜美の姿に友人達がドッと吹き出すように笑う中、彼はしゃがみ込んで亜美の目を見た。 「どうもありがとう、お嬢ちゃん。 とっても助かったよ、これがなかったら家に入れないところだったんだ」 と微笑みながら優しい口調で言った。 すると亜美はむぅと顔をしかめ、 「亜美はオジョウチャンじゃないよ、亜美だよ」 と強い口調で答えたので、今度は彼もクスクス笑い、 「ごめん、亜美ちゃんだね」 と頷いた。  
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