【旋 律】前編 第二章

9/28
前へ
/28ページ
次へ
. ――――… 定時で仕事を終えた美佳は、会社から離れた所にあるカフェでコーヒーを飲んでいた。 彼をカフェで待つこの時間は、いつもとても長く感じた。 定時で終えて来れないこともあり、長い時間待たされると、もう帰ろうと何度も思うのだが、どうしても帰ることができない自分がいた。 美佳は時計に目をやり、もう一時間半か、と苦笑した。 本当に帰ろうかな、 そう思った時、カフェに入ってくる和馬の姿が見えた。 美佳は思わず笑顔を見せた。 「悪かったね、帰りがけに部長につかまって」 和馬は美佳に歩み寄りそう言った。 美佳は微笑みながら首を横に振った。 「じゃあ、取りあえず出ようか」 美佳は「そうね」と頷き、二人はカフェを出た。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1039人が本棚に入れています
本棚に追加