【旋 律】前編 第四章

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  「そうだったんですか……楓君、かわいいですね」 円香が微笑ましさに目を細めると、恵美は目を伏せ息をついた。 「かわいいでしょう?  でも切ない事情があったのよ。 楓の父親、つまり今の私の旦那は私と結婚したいが為に、楓を自分の親に……楓にとっては祖父母の家に預けようと思ったみたいなの。 そのことを察した楓は自分が捨てられたくなくて、必死で私に頭を下げに来たのよ。 ……その事実は後で知ったんだけどね……」 思いもしない事実に、円香は言葉を失った。  
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