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――――…
円香は、和馬と亜美と共に駅前のショッピングモールに訪れていた。
亜美のリクエストに従い、UFOキャッチャーで遊び、店内を見てまわる。
「あのね、私、夏物のお洋服欲しいんだけど、いいかしら」
円香が言い難そうにそう告げると、和馬ではなく、亜美が「えー?」と不満そうな答えた。
「ママがお洋服買うと長くなるから、いやだぁ。
亜美ね、アニメ祭りの映画に行きたいの」
そんな亜美の的を射た露骨な言葉に和馬は思わず笑った。
「それじゃあ亜美、パパと二人で映画に行こうか。
その間、ママをゆっくりお買い物させてあげよう」
和馬らしかぬ提案に円香が驚く横で、亜美は「わあい」と声を上げた。
「うん!パパと映画観る」
大はしゃぎでジャンプする亜美に、
「えっ……いいの?」
と円香が戸惑いながら確認するように尋ねると、
「実は睡眠不足で眠いんだ。映画館で仮眠取るよ」
と亜美に聞こえないようにそう囁いた和馬の本音に、円香は思わず笑った。
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