【旋 律】前編 第四章

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  「それでも私は楓がかわいかったわ。 あの子は家族を維持しようと誰よりも必死だった。 いつも一生懸命、私に色んな話をしてくれて、少しでも本当の親子になろうと努力してくれたの。 ……そんな楓がいじらしくてね。 私は自分の子供が欲しかったけど、継子と実子との愛情差が生まれては困るから、楓の為に自分の子供を作るのは諦めようと思ってた。 そしたら、そんな私の気持ちを察したのね、『お願いお母さん僕、弟か妹が欲しい』って、頼まれたわ。 ……本当にあの子には脱帽よ」 恵美はそう言って、息をついた。 「それで歳の離れた弟さんが?」 「そう、楓と11違い。 今6才になったのよ。楓がとてもかわいがってくれているおかげで、素直ないい子に育ってるわ。 継子も実子もない、二人ともかわいい我が子よ」 恵美はそう言って笑みを浮かべた。  
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