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「それでも私は楓がかわいかったわ。
あの子は家族を維持しようと誰よりも必死だった。
いつも一生懸命、私に色んな話をしてくれて、少しでも本当の親子になろうと努力してくれたの。
……そんな楓がいじらしくてね。
私は自分の子供が欲しかったけど、継子と実子との愛情差が生まれては困るから、楓の為に自分の子供を作るのは諦めようと思ってた。
そしたら、そんな私の気持ちを察したのね、『お願いお母さん僕、弟か妹が欲しい』って、頼まれたわ。
……本当にあの子には脱帽よ」
恵美はそう言って、息をついた。
「それで歳の離れた弟さんが?」
「そう、楓と11違い。
今6才になったのよ。楓がとてもかわいがってくれているおかげで、素直ないい子に育ってるわ。
継子も実子もない、二人ともかわいい我が子よ」
恵美はそう言って笑みを浮かべた。
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