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「あの子が弁護士になりたいって言い出したとき、すごく納得したわ。
自殺したお母さんのような弱者を救いたかったのよね。
だから私は例えお金がかかっても名門私立高校に入ることを勧めたの。
楓はとても遠慮したけど、どうしても行かせてあげたかったわ。そしてバイトも禁じたの。
あの子のことだから、自分で学費をなんとかしようとする気がしてね」
恵美はそう言って息をついた後、顔を上げた。
「高校に入っても、楓は毎日色んな報告を私にしてくれるの。
それは家族を維持したい、あの子の努力なのよね。
それがいじらしくて切なくて、そうさせてしまっている自分がたまに情けなくなるわ」
そう言い終え、苦笑を浮かべた恵美の言葉に、
円香の目頭が熱くなった。
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