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「でもね、色んな話をしてくれる中で、亜美ちゃんとあなたの話は本当に楽しそうにしてくれたのよ。
亜美ちゃんがとても懐いてくれてかわいかったって。
そして自分がピアノで好きな曲を弾けたって、本当に嬉しそうに……。
あの子、ピアノ習いたかったのに言い出せなかったのかもしれないわね」
恵美はそう言って自嘲的な笑顔を見せ、円香を見詰めた。
「楓は自慢の息子よ。
あんなに優しくて賢くて、その上、イイ男でしょう?」
「そうですね」
円香が笑顔で頷くと、恵美は嬉しそうに目を細めた。
「どこに出しても恥ずかしくない自慢の息子。
私は幸せよ。
……でもたまに楓がちゃんと幸せかどうか心配になる時があるわ。
我慢ばかりしているような気がして……言いたいことも言えていない気がして……」
恵美はそう言って、目を伏せた。
「楓君、お母さんのこと誉めてましたよ。
自分の事を心配してくれる、素敵な人だって。
明るくてイキイキしてるお母さんだって言ってましたよ」
穏やかな口調でそう言った円香に、
「そう……そういう風に言ってくれてたんだ、嬉しいな」
と恵美は優しい微笑を浮かべた。
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