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――――…
恵美との話が終える頃、映画が終わったという電話が入り、円香は彼女に礼を言ってオフィスを後にした。
「お礼を言うのは私の方よ。話を聞いてくれてありがとう。
なかなか人に話せることじゃなかったから、すごくスッキリしたわ。
また来てくださいね」
と帰り際、恵美はまた快活な笑顔を見せていた。
円香はオフィスを出て通路を歩きながら、楓の言葉を思い出した。
『僕も五つの頃、亜美ちゃんと同じように一人で遊びに出かけて、家に帰るのが遅くなったことがるんです。
いつまでも帰らない僕を母が必死で僕を探しに来て、僕の姿を見るなり泣きながら駆け寄って、
「お願いだから心配かけさせないで」って、抱き締められたことがあるんです。
……さっき亜美ちゃんを窘める姿を見て、その時のことをなんだか思い出しました』
そう言って、懐かしいような切ないような表情を浮かべた楓くん。
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