【旋 律】前編 第四章

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  しかし今日は余程疲れているのか和馬がリビングに顔を出したのは、時計が11時を回った頃。 「パパ、おはよう!」 父親の姿に亜美は嬉しそうに飛びついた。 「おはよう、亜美」 和馬は屈託ない愛娘に目尻を下げ、亜美を抱きかかえたまま、ソファーに腰を掛けた。 「朝食、パンでいい?」 対面キッチンでそう尋ねた円香に、和馬は「いや、コーヒーだけでいい」と素っ気無く答えた。 そして壁掛け時計を見て、 今頃、美佳は杉田と再会しているんだろうな、 と和馬は面白くなさを胸に抱きながら新聞を開いた。 今までは家族と過ごしている時に、美佳のことを考えることは少なかった。 だが今頃彼女が彼と再会し、嬉しさにはしゃいでるであろう、そんな姿を想像するだけで落ち着かない気持ちになっていた。  
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