【旋 律】前編 第四章

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. ――――… 東京駅で久しぶりに彼・杉田裕也と再会した、美佳は満面の笑みで大きく手を振りながら彼に駆け寄った。 「オッス、裕也。少し痩せた?」 美佳は学生時代アメフト部だったと言う、大柄の裕也の腕にからんだ。 「まぁな、最近忙しくてよ。そういう美佳は太ったんじゃねぇ?」 裕也はイタズラに笑って、美佳の頬を軽くつまんだ。 屈託ない笑顔の、大柄に似つかわしくない童顔の青年だ。 「久しぶりに会った彼女に対して、開口一番にその言葉ないわ。それに太ってないわよ」 「冗談だって、美佳は相変わらずだな」 「相変わらず、なによ」 「ん? まぁ、相変わらずってことだよ」 アハハと笑う裕也に、美佳は口を尖らせた。  
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