【旋 律】前編 第四章

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  「そんなに忙しいの?活気があるのね」 「いや、上司の采配が下手で、上手く仕事が流れないんだ。 仕事量では本社の方が上だよ。 でも本社は西沢課長が取り仕切ってるから、上手く回ってるよな」 突然、出て来た和馬の名に、美佳はドキッとした。 「ああ、西沢さんはうちの出世頭だものね」 「カッコイイ上司ナンバーワンだよな。ずっとモテるのに独身を通してきたかと思えば、社内のマドンナと結婚して。 男から見て理想の生き方だよなぁ」 「……マドンナかしらね」 裕也が円香のことを誉めたことに面白くなさがつのり、目をそらした。 それに『社内のマドンナ』だなんて、彼女は派遣社員だったじゃない、 心でそう付け足していると、 裕也はクスクス笑って顔を覗き込み、美佳の鼻をつまんだ。 「妬くなよ。 美佳の方が美人だよ」 真っ直ぐに自分を見詰めてそう言った裕也に、美佳は思わず赤面し、 「もう、別に妬いたわけじゃないわよ」 と、はにかむように笑った。  
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