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「そんなに忙しいの?活気があるのね」
「いや、上司の采配が下手で、上手く仕事が流れないんだ。
仕事量では本社の方が上だよ。
でも本社は西沢課長が取り仕切ってるから、上手く回ってるよな」
突然、出て来た和馬の名に、美佳はドキッとした。
「ああ、西沢さんはうちの出世頭だものね」
「カッコイイ上司ナンバーワンだよな。ずっとモテるのに独身を通してきたかと思えば、社内のマドンナと結婚して。
男から見て理想の生き方だよなぁ」
「……マドンナかしらね」
裕也が円香のことを誉めたことに面白くなさがつのり、目をそらした。
それに『社内のマドンナ』だなんて、彼女は派遣社員だったじゃない、
心でそう付け足していると、
裕也はクスクス笑って顔を覗き込み、美佳の鼻をつまんだ。
「妬くなよ。
美佳の方が美人だよ」
真っ直ぐに自分を見詰めてそう言った裕也に、美佳は思わず赤面し、
「もう、別に妬いたわけじゃないわよ」
と、はにかむように笑った。
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