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そんな楓の笑顔に円香の心臓は強く音を立てた。
楓にピアノを教えてあげたいと思ったのは、何のやましい気持ちもなかった。
習いたいのに、遠慮して我慢して来たんじゃないかと思ったら、思わず口をついて出たことだった。
それが、こんなことになって、急にドキドキしてしまう自分に戸惑っている。
夫である和馬を勿論、愛している。
しかしこの感情は、それとは異なったものだった。
さやかさんの言うように、これが擬似恋愛なのかな?
決して踏み込むことはできないけど、ドキドキする。
そんな楓は、遊びまわる亜美を優しい笑顔で見詰めていた。
その横顔を見ながら、円香は胸に迫る甘苦しさに、ギュッと拳を握り締めた。
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