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「……そういえば母が円香さんのこと、かわいい人だって、しきりに言ってましたよ。
亜美ちゃんにも会いたかったって」
「いやだ、かわいいなんて歳じゃないのにね」
「本当ですね」
「わっ、ひどい」
「冗談ですよ」
イタズラに微笑んだ楓に、円香は、良かった、と肩をすぼめ、二人にはクスクスと笑い合った。
その時、ブランコで遊ぶ亜美が「ママーッ、見て、すごくいっぱいこげるよ」と声を上げた。
円香はクスクス笑って、
「すごいね、亜美。
でも気をつけて」
と声を上げると、
「はーい」
と亜美は屈託なく笑った。
そんな亜美の姿に、楓は柔らかく微笑み、目を細めた。
「――亜美ちゃんって、天真爛漫を絵に書いたような子ですね」
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