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「マイウェイで、困るのよ」
「でも、お母さんの愛情を一身に受けて育ってるのが伝わって来ます」
楓はブランコで無邪気に遊ぶ亜美を見ながら呟くようにそう言った。
「そ…そうかしら」
「今、子供の不幸なニュースが多い中、亜美ちゃんは、幸せですね。
円香さんみたいなお母さんの元に生まれてくることができて」
「そ、そんなこともないのよ。
私だってヒステリー起こしちゃう時もあるし、理不尽なことで怒って、後で後悔することもしょっちゅうだし」
バツ悪さに肩をすぼめると、楓はクスリと笑った。
「いつでも聖人君子じゃいられないのは当たり前ですよ」
――また、そんな悟ったことを言う。
円香はそう心で呟き、楓の横顔を見た。
優しい微笑を浮かべて亜美を見ているものの、どこか寂しさが漂っていた。
――幼い亜美を見て、自分の幼い頃のことを思い出しているんだろうか?
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