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楓にまっすぐに見下ろされ円香の鼓動は強くなった。
――こんなに背が高いんだ。
華奢に感じたけど、肩もガッチリしてる。
――やっぱり、カッコイイ。
「楓君って……」
カッコイイね、そう言おうとして、言葉を飲み込んだ。
「ピ、ピアノ習いたかったの?」
咄嗟に思いついた質問をぶつけると、楓は小さく笑って、またベンチに腰を下ろした。
「ピアノに限らず楽器に憧れはありましたけど、習おうとまで思いませんでしたね。
塾にも行かせてもらってたし」
『行かせてもらってる』
子供らしくない言葉に、円香は苦笑した。
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