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やっぱり、習いたいのに遠慮してきたのかな?
「どうしてですか?」
「えっ?うん、なんとなく。
この前、とても楽しそうだったから」
「楽しかったです。
学校のピアノを使って『これ、弾けるんだぞ』って自慢したら、自慢できるほどの腕じゃないだろって友達に笑われました」
楽しそうにそう言った楓に、円香も思わず笑った。
「インチキ先生の私でよければ、いつでも教えてあげるわよ」
「そんな……バイトもしてないんで、月謝払えないですよ」
「月謝なんているわけないじゃない、インチキ先生なのに。
まぁ、勿論、楓君に興味があればの話なんだけど。
部活に塾に大変なのに、その上、ピアノまで手が回らないわよね」
クスクス笑ってそう告げると、
「……円香さんは、何か習いたいこととかはあるんですか?」
唐突な質問に円香は少し考え、
「今、色んなことにチャレンジしたいと思ってるんだけど、なかなか……。
英会話は何度もチャレンジしようとして挫折ばかり」
そう言って苦笑すると、
「じゃあ、こうしましょうか」
と楓は笑顔で円香を見た。
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