【旋 律】前編 第五章

29/30
1185人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
  「えっ?」 「僕、英語の成績はそこそこなんです。 僕が円香さんに英語を教えるので、円香さんは僕にピアノを教えてもらえませんか?」 楓からの思いもしない提案に円香は驚きつつも目を輝かせた。 「あ…それ、すごくいいかも」 「お互いインチキ先生ってことで」 「私はインチキ先生だけど、楓君はあの名門私立高校の生徒さんじゃない。 そこでなかなかの成績なら、全国トップクラスよ」 「でも、英会話と違って受験英語になりますけど、単語とか文法なら教えられるので。僕も勉強の復習になるし」 「嬉しい、じゃあ、いつから始めようか」 「僕、水曜、塾なんですけど、塾が始まるのが7時半からなんです。教室がここの駅前で学校が終わってから塾までの時間この辺で潰すのが大変なんですよ。 その時間を有効に使えたら僕としては嬉しいです」 「そうね、それじゃあ水曜日に学校が終わってからにしましょうか。 部活は大丈夫なの?」 「水曜は塾の人が多いんで休みなんです。次の水曜から大丈夫ですか?」 「うん、大丈夫」 「じゃあ、水曜、楽しみですね」 楓はそう言ってニッコリ笑った。  
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!