【旋 律】前編 第六章

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  ――その後、和馬は家に戻り、ソファーでくつろぎながらキッチンで食事の支度をする円香の姿と、その周りで邪魔するかのようにじゃれつく亜美を見て胸が痛んだ。 美佳に家庭を壊されるかもしれない、 そう思ったときに、背筋に恐怖が走った。 美佳に恋をしていた。 だが、それは飽くまで遊びだったのだ。 円香にはもう感じることが出来なくなった、女の魅力を美佳に求めていた。 だからと言って今の家庭を壊す気など微塵もなかったのだ。 そう、美佳を誰にも渡したくないなど、思ってはいけないことだったんだ。 もし、杉田との関係が壊れたなら、今の自分達の絶妙な関係も崩れるだろう。 美佳は今頃、どうしているのだろう。 和馬は言い様のない胸騒ぎにギュッと目を閉じた。
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