1781人が本棚に入れています
本棚に追加
自分にとって、恵美は絶対的存在だった。
血のつながりがないのに、こんなにも優しくしてくれている。
働きながら、自分を名門私立高校に行かせてくれている。
いつも何かの形で返していかなければならないと思っていた。
そして期待に添えるような自分でなければならないと感じていた。
成績も、生活態度も、全てにおいて。
そんな楓は、常に自分の用事よりも、恵美の用事を優先にするようにし、
日常生活においてなるべく恵美とコミュニケーションを取るよう心掛け、一日の出来事を報告するようにしていた。
学校での友人関係、今の学力状態、部活での様子、塾の講師のこと――――。
最初のコメントを投稿しよう!