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「えっ?そんな……受け取れませんよ」
戸惑いながら紙袋を見詰める楓に、円香は慌てて手を振った。
「遠慮されるようなものじゃないのよ。
お弁当なの。塾の前に食べてね。
使い捨て容器に入れてるから」
そう言った円香に、楓は驚いたように目を見開いた。
「それじゃあ、さっき、キッチンに行ったのは、これを作っててくれたんですか?」
そう尋ねた楓に、円香はコクリと頷いた。
「ありがとうございます、あの……見てもいいですか?」
「えっ?今見るの?
……いいけど」
恥ずかしさを感じながらも頷くと、楓は「美味しそうな匂い」と漏らし、紙袋から丁寧にプラスチック容器の弁当を取り出し、蓋を開けた。
トンカツやエビフライ等をメインにぎっしり詰まった弁当に、楓は言葉を失った。
「慌てて作ったものだから、恥ずかしいんだけど」
「いえ、凄いです、豪勢ですね!」
楓は目を輝かせながら感激の声を上げ、
「……嬉しいなぁ」
と漏らした。
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