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「遅ればせながら、お誕生日おめでとう。
そして、いつもありがとう、楓君」
円香はそう言うと、続いて亜美も「ありがとう、楓ちゃん」と元気な声を上げた。
「……ありがとうございます」
そう言った楓の目が赤くなっているのを見て、円香の鼓動がトクンと波打った。
「ほら、楓くん、塾遅れるわよ」
円香はそんな胸の内を、誤魔化すように楓の背中を軽く叩いた。
「あっ、はい、行ってきます。
本当にありがとうございました」
そう言って屈託なく微笑んだ楓に、円香の胸は熱くなった。
「じゃあ、また来週ね」
「はい、また来週ですね。
お弁当、ありがとうございました」
そう言って楓はペコリと会釈し、玄関を後にした。
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