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「それでね、また無言電話があったの」
夜、帰宅した和馬に無言電話の報告をすると、
「じゃあ非通知着信拒否しろよ」
と和馬はテレビに目を向けたまま、面倒臭そうに答えた。
「それが、非通知じゃないのよ」
低い声でそう告げた円香に、和馬はキョトンとして顔を上げた。
「どこからなんだ?」
「……あなたの会社からの着信なの」
「――えっ?」
和馬は虚を衝かれたように目を見開いた。
「あなたの出世を妬んでる人からの嫌がらせなのかな?って心配になったんだけど」
言い難そうに目を伏せながらそう告げた円香に、和馬は言葉を失った。
脳裏にそれはハッキリと美佳の顔が浮かび、動揺し手が小刻みに震えることを感じた。
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