【旋 律】前編 第七章

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  「それでね、また無言電話があったの」 夜、帰宅した和馬に無言電話の報告をすると、 「じゃあ非通知着信拒否しろよ」 と和馬はテレビに目を向けたまま、面倒臭そうに答えた。 「それが、非通知じゃないのよ」 低い声でそう告げた円香に、和馬はキョトンとして顔を上げた。 「どこからなんだ?」 「……あなたの会社からの着信なの」 「――えっ?」 和馬は虚を衝かれたように目を見開いた。 「あなたの出世を妬んでる人からの嫌がらせなのかな?って心配になったんだけど」 言い難そうに目を伏せながらそう告げた円香に、和馬は言葉を失った。 脳裏にそれはハッキリと美佳の顔が浮かび、動揺し手が小刻みに震えることを感じた。  
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