1410人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「ねぇ、産んであげようか?」
美佳は少し身を乗り出し、いたずらっぽく和馬を見た。
「えっ?」
「私が、男の子を」
「バカ、何言ってるんだよ、杉田がいるだろ」
と焦ったように言った和馬に、
「…ええ、そうね、冗談よ」
と美佳は冷ややかな表情を見せた。
「――心臓に悪い冗談はやめてくれよ」
そう言って顔をしかめた和馬に、美佳は眉をひそめた。
「円香先輩に、もう愛はないのよね?」
「えっ?……ああ」
――じゃあどうして、心臓に悪いと思うの?
美佳は心でそう呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!