【旋 律】前編 第八章

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  「こんにちは」 笑顔で会釈する楓に、円香は笑みを返しながらスリッパを用意した。 「いらっしゃい、どうぞ」 「楓ちゃん、いらっしゃい!」 飛び跳ねながらそう言う亜美に、楓は目尻を下げてその頭を撫でた。 「こんにちは、亜美ちゃん、お邪魔します」 そしてリビングのソファーに座りながら、そういえば、と顔を上げた。 「お弁当、本当にありがとうございました。すごく美味しかったです」 相変わらず律儀な楓に円香はプッと笑い、 「やだ、お礼はメールで頂いたわよ」 そう言ってキッチンで紅茶とキッシュを用意し、テーブルの上に並べた。  
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