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「あ……悪かったね、俺も焦って……」
「ううん、和馬さん。
私って焦る存在なのよね?邪魔な存在なのよね?」
美佳は目に涙を浮かべながら、和馬を見上げた。
「そんなことないよ」
「ううん、結局、ただの遊びの女なのよ。
だから、鬱陶しいことをされたと感じたら、そんな剣幕で怒るのよ」
美佳はそう言って目を伏せ、小さく息をついた。
「何を言うんだよ」
「ううん、今ので分かったの。
私は和馬さんを焦らせるだけの鬱陶しい存在なんだって」
美佳はそう言って和馬に背を向けた。
「もう、別れるわ。もう会わない」
そう告げた美佳に、和馬は大きく目を見開いた。
「バカなこと言うなよ」
「あなたは円香先輩こそが大切なのよね。
だから、キスマークひとつでそんなに焦るのよね。
もう、会わない方がいいわよね」
美佳はそう言って振り返り、涙で潤んだ切なげな瞳で和馬を見た。
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