【旋 律】前編 第九章

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. ――――… 和馬が家に帰ると、円香の様子は今朝とは明らかに違っていた。 「お帰りなさい」 と笑顔を見せ、テーブルには、和馬の好きな物ばかりが並んでいた。 なんだ? 今日は機嫌がいいのか? 和馬はポカンとしながら、スーツのジャケットをソファーに無造作に置き、冷蔵庫からビールを取り出した。 円香は箸や小皿などを用意しながら、すまなそうに目を伏せた。 「あの……今まで、嫌な態度を取ってごめんなさい」 その言葉に和馬は何も言わず、ただ円香が何を言い出すのかと懸念し顔をしかめた。  
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