【旋 律】前編 第九章

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  「い…いや、その…俺もせっかく作ってくれたのに、食べなかったって言えなくて、本当に悪かったよ。 ごめんな、円香」 和馬はそう言って円香の手を取った。 「いいのよ、私こそごめんなさい」 「お弁当はこれからはいらないよ。 付き合いも多くなりそうだし、打合せで外出することもあるし」 すまなそうにそう言った和馬に、円香は「分かったわ」と笑顔を見せた。 そうか……円香はそれで怒っていたわけだ。 弁当を捨てていたことが分かったなら腹も立つよな。 それにしても、誰がそんなことを……。 和馬は顔をしかめながら食事を口に運んだ。  
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