【旋 律】前編 第九章

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. ――――… 楓は学校の休憩時間、円香にメールを返信し、ふぅと息をついた。 そんな楓の様子に前の席に座る友人・布施はニヤニヤ笑いながら振り返った。 「広瀬君ったら、最近よくメールするようになったよなぁ」 「ああ、うん」 楓はサラッと頷き、携帯電話をポケットにしまった。 「おにーさんに正直に話せよ、彼女できたんだろ?ん?そしてすみやかに、その彼女の友達を紹介しろよ」 そう言って不敵な笑みを浮かべた布施に、楓は思わず笑った。 「残念だけど、それは見当違いだよ」 「あれ、珍しく勘が外れたな。メール相手は誰だよ、女だろ?」 「……女だけど十歳以上年上の親戚だよ……結婚してるし」 いかがわしい想像をされることが面倒で、親戚だと軽い嘘をつくと、 布施は「へぇ」とだけ漏らし、それ以上聞こうとはしなかった。  
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