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――――…
楓は学校の休憩時間、円香にメールを返信し、ふぅと息をついた。
そんな楓の様子に前の席に座る友人・布施はニヤニヤ笑いながら振り返った。
「広瀬君ったら、最近よくメールするようになったよなぁ」
「ああ、うん」
楓はサラッと頷き、携帯電話をポケットにしまった。
「おにーさんに正直に話せよ、彼女できたんだろ?ん?そしてすみやかに、その彼女の友達を紹介しろよ」
そう言って不敵な笑みを浮かべた布施に、楓は思わず笑った。
「残念だけど、それは見当違いだよ」
「あれ、珍しく勘が外れたな。メール相手は誰だよ、女だろ?」
「……女だけど十歳以上年上の親戚だよ……結婚してるし」
いかがわしい想像をされることが面倒で、親戚だと軽い嘘をつくと、
布施は「へぇ」とだけ漏らし、それ以上聞こうとはしなかった。
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