【旋 律】前編 第十章

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. ――――… その日、和馬は今更ながら花を買って早めに帰宅した。 家に入りにくい気持ちを抱いたまま、リビングに足を踏み入れると、円香はソファーに腰をかけ、テレビを観ていた。 突然早く帰って来た和馬の姿に亜美は、わあ、と目を開いた。 「パパだ! おかえりなさい!」 そう言って大喜びで駆け寄り、和馬の脚に飛び付いた。 「ただいま、亜美」 和馬は目尻を下げながら亜美の頭を撫で、手にしている花束を見せた。 「そのお花はなぁに?」 「これは、ママに渡してほしいな」 そう言って和馬は亜美に花束を手渡した。 亜美は「わあ、きれい」と声を上げ、「ママー、お花!きれい」と円香に差し出した。 円香は「ありがとう、亜美」と花を受け取りながら笑顔を見せ、そして和馬には冷ややかな視線を向けた。  
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