1388人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
.
――――…
その日、和馬は今更ながら花を買って早めに帰宅した。
家に入りにくい気持ちを抱いたまま、リビングに足を踏み入れると、円香はソファーに腰をかけ、テレビを観ていた。
突然早く帰って来た和馬の姿に亜美は、わあ、と目を開いた。
「パパだ! おかえりなさい!」
そう言って大喜びで駆け寄り、和馬の脚に飛び付いた。
「ただいま、亜美」
和馬は目尻を下げながら亜美の頭を撫で、手にしている花束を見せた。
「そのお花はなぁに?」
「これは、ママに渡してほしいな」
そう言って和馬は亜美に花束を手渡した。
亜美は「わあ、きれい」と声を上げ、「ママー、お花!きれい」と円香に差し出した。
円香は「ありがとう、亜美」と花を受け取りながら笑顔を見せ、そして和馬には冷ややかな視線を向けた。
最初のコメントを投稿しよう!