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「楓君と私って、いくつ違うのかな?」
「14ですね」
即答する楓に、円香は思わず笑った。
「14かぁ……。
私が中学二年生のときに楓君が生まれたんだ。
そう考えると凄いよね」
「そうですね」
「でも、楓君の方がずっと知識があって、寛容で視野が広くて大人よね。
私は31年も何をやって来たのかな?」
円香は空を仰ぎ、やりきれなさに唇を噛んだ。
「僕こそ何もやってきてませんよ。
頭でっかちが故に動きの取れない……赤ちゃんと一緒です」
皮肉めいた笑いを浮かべそう告げた楓に、円香は少し驚きながらも、笑みを見せた。
「――そうやって、冷静に自己分析しちゃうところも楓君らしいわね」
そう言ってクスクス笑った後、缶コーヒーをまた口にした。
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