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頬から伝わる楓の体温が心地よく、
重苦しい気持ちが緩和されるような気がした。
少年だとばかり思っていた彼の背中や肩は、とても大きくガッチリしていた。
―――愛しい、と思った。
この背中に頬を寄せ、いつまでもこうしていたいと感じた。
そして彼は背中にもたれ、声を殺して泣く自分を黙って受け止めてくれていた。
―――楓くん。
そんな楓の背中を眺め、これ以上はいけないと円香はそっと離れた。
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