【旋 律】前編 第十章

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  「えっ?そんなのいいのに……。 でも、嬉しいわ、開けてもいい?」 ためらいつつも笑顔でそう尋ねる円香に、楓は「勿論」と頷いた。 紙包みの中にはウサギのキャラクターのストラップが入っていた。 「わあ、ストラップ」 「円香さんの携帯にストラップがついてなかったから」 「よく見てるのね。 そうなの、前にビーズの付けてたんだけど、亜美に引っ張られてちぎれちゃって、そのままだったの。 かわいいわ、うさぎのストラップ」 「円香さんに似てるでしょう?」 「そうかな?私、うさぎに似てる?」 「円香さんは小動物って感じがして」 その言葉に円香はプッと笑い、 「そうかしら、そういう楓君は、えーと……、 すごく賢いワンちゃんって感じ」 「服従しそうですか?」 笑いながらそう尋ねた楓に、「とんでもない」と円香は目を開き、 二人は顔を見合わせてクスクスと笑った。  
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