1388人が本棚に入れています
本棚に追加
『……胸を貸すわけにはいかない気がするので……僕の背中で良ければ……』
そう告げた楓の言葉を思い出し、円香は切なく目を細めた。
――その胸に……ためらうことなく思い切り飛び込める女の子が羨ましい。
次の瞬間、円香は自分の思ったことに顔をしかめた。
……何を考えているんだろう。
―――17歳は
少年の純粋さと大人の魅力が見え隠れする、最も美しく輝かしい時なのかもしれない。
それが眩しくて、目眩がしているだけ。
この感情は、愛でも恋でもない。
―――この子に恋をしているわけじゃない。
円香は自分に言い聞かせるように何度も頭の中でそう反芻し、そっと唇を噛んだ。
最初のコメントを投稿しよう!