【旋 律】前編 第十章

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  ベッドに押し倒し、行為に及ぼうとしたときに、 「和馬さん、お願い……指輪を外して」 と哀願した美佳。 「ああ、分かったよ」 と指輪を外し、ベッドサイドに置いた。 美佳がそんなことを頼んだことは、今まで一度もなかったと言うのに……。 朝、バタバタと大急ぎでホテルを出てきて……その結果……。 和馬は何もつけていない左手薬指を見て苦虫を噛み潰したような顔を見せた。 ――指輪をホテルに忘れてきてしまうなんて。 なんてこった……。 円香になんて言えばいいんだ。 和馬は弱ったように額を押さえた。  
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