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「美佳……どうして、そんな物を?」
「ちょっと拝借したのよ。
でも、お返しするわ。郵送で円香先輩の所に。ホテルの名を語ってね」
美佳はそう言ってニッと笑みを浮かべた。
「……美佳」
「由香もいつまでもいい子してないで、奥さんに攻撃すべきよ」
美佳はグイッとビールを飲み、口を拭った。
奥さんに攻撃……。
由香は目を伏せ、
「そんなの……百万回思ったわよ」
と低い声で呟いた。
「そうでしょう?」
「でもね、間違ってるのは、私たちなのよ。
それが分かってるから、奪えないのよ」
由香は涙目で真っ直ぐに美佳を見据えた。
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